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お久しぶりです。
年明けから本職が異常に忙しく、ドイツ語に触れずにいました。
ちょっと、装いを改めて、「ツオイスの庭の飯太鼓」を復刊しようと思います。
自称「中級ドイツ語」の取り扱いは改め、
若干ドイツ文化の紹介とかドイツ語に絡めながら記事を出そうかとも思ってます。
ちょっとネタ探ししてますので、もうしばしお待ちを!
12月5日のドイツ語読解で、ドイツの教育についての記事を扱いました。
その中で「ドイツの教育制度は機会の均等制に欠けている」という内容が出てきました。古くから医学や科学の国、というイメージで教育が優れているイメージのあるドイツですが、日本とはひと味違った大変さがあるようです。
なにせ、小学校から「落第」というシステムがある。小学校四年生で大体自分の人生が決まる。と、なかなかハードです。
小学校4年生(ベルリンは6年生)になると、大学に進学するための「ギュムナージウム」、職人など専門職を目指す「レアールシューレ」そして一般教育を施し職業訓練校に進む「ハウプトシューレ」と大体三つの学校のどれかを選ぶことになります。
成績や親・本人の意志などにもよりますが、成績が良い生徒からギュムナージウム、レアールシューレそしてハウプトシューレに進む、と言うのがお決まりのパターンとなっています。なにせ大学に行くためにはギュムナージウムしかない(例外あるけど)、片やハウプトシューレにいくと就職やらで大変(中退率も高い)と両極端。
というわけで、ドイツの子供の親はギュムナージウムかレアールシューレ。ハウプトシューレはできれば行かせたくない、という思いでこの時期はドキドキするようです。
ここから大学進学コースを中心に話を進めます。めでたくギュムナージウムに入ったとしても、これからまた大変です。何せ大学進学コースといっても、卒業試験のアビトゥーアに合格しないと大学に入れない。ドイツには大学入試がないので、この卒業資格を取らないと逆立ちしても大学に入れません。
おまけにこの卒業試験を受けられるのは人生2回まで。ただ、まじめに学校に通っていれば卒業できるレベルの試験らしいですが。
さてこれで晴れての大学生活となるわけです。ドイツの大学は最近学費制度が導入されたとはいえ、学生でもちょっとアルバイトすれば払える程度の金額です。また、ドイツやヨーロッパで、大学生は将来の社会的な指導層とみなされるため、待遇はかなり良いです。博士課程の学生は教職員として扱われ、授業を持つ場合もあります。
なかなか恵まれているようですが、大学生活も楽ではないようです。学費がほとんど無料のため「学生はお客様」という日本的な大学経営は微塵もありません。「できない奴は退学しろ」というスタンスです。このため、哲学など文系学科は中退率が高いそうです。
そうはいえど、金の掛かる理系や社会的にいないとこまる専門職系は比較的卒業させてくれるようですが、日本の大学に比べたらはるかにスパルタであることには変わりません。
日本も受験戦争で、いまや幼稚園児に入る前から子供たちがヒーヒー言いながら勉強しています。どこの世の中も教育というのは、施す方も受ける方も大変なようです。
今日はドイツの教育・教育制度についての記事です。フランクフルター・ルンドシャウの記事で、ここの新聞の記事は比較的読みやすいものが多くて学習にお薦めです。
その変わりに教育学などに出てくる単語やドイツの社会制度をちょっと知っていないと文章の背景がわかりづらい言い回しなどが出てきます。DSHなどのドイツ語テストではこのような大学の教科書に出てくるような単語が使われる文章が好まれます。音読も忘れずに行いましょう。ではどうぞ!
【原文】
Der heilsame Pisa-Schock
(1)
Der erste Pisa-Befund von zehn Jahren war für die deutschen Schulen vernichtend. Über die Therapie des Schulsystems wird immer noch gestritten. Auch die Behandlung dauert an.
(2)
BERLIN – Einige hatten zwar Ungutes geahnt. Dass es aber so schlimm kommen sollte, damit hatte keiner gerechnet. Als vor zehn Jahren (5. Dezember 2001) der erste weltweite Pisa-Test veröffentlicht wurde, zerbrach in Deutschland die Illusion, über eines der besten Schulsystem der Welt zu verfügen. Der Pisa-Schock löste eine Dauerreform aus. Ein Ende ist noch lange nicht in Sicht.
(3)
Das deutsche Ergebnis war niederschmetternd: Schulleistungen im weltweiten Vergleich allenfalls unterdurchschnittlich. Fast jeder vierte 15-Jährige konnte nur auf Grundschulniveau lesen und Texte verstehen und zählte zur Risikogruppe. In Sachen Chancengleichheit gab es für Deutschland die Note sechs. Und auch die Defizite in der Migrantenförderung waren unübersehbar.
(4)
Noch am Abend rauften sich die 16 Kultusminister zu einem Katalog mit “7 Handlungsfeldern” zusammen, die die deutsche Schule wieder aus dem Jammertal führen sollten. Mühsam musste Rheinland-Pfalz' Bildungsministerin Doris Ahnen (SPD) damals darum kämpfen, dass auch die Ganztagsschule als ein Mittel zu Verbesserung der Schulmisere anerkannt wurde. Heute stehen Ganztagsschule und Ganztagsbetreuung in den Bildungsprogramm aller Parteien ganz obenan.
(Artikel aus: 10 Jahre Pisa-Studie: Der heilsame Pisa-Schock | Politik – Frankfurter Rundschau)
【訳例】
健全なPisaショック
(1)
10年前の初めてのPisa調査の結果はドイツの学校にとって大敗北を喫するものだった。学校制度を治す方法についてはいまだに議論が行われている。治療も継続中だ。
(2)
ベルリン ー いくらかの者が良くないことを予言したりもした。とはいえ、とんでもなくひどいことになるということを、その予言と一緒にあって誰も見積もることはしなかった。5年前(2001年12月5日)に最初の国際的なPisa調査が公開されたとき、ドイツでは幻想というものが、つまり世界において最も優れた学校制度のひとつを手中に納めているというそんな幻想が打ち砕かれたのだった。このPisaショックは継続的な改革を引き起こすこととなった。終わりはまだ将来にわたって見えていない。
(3)
ドイツの結果は散々なものだった。すなわち、国際比較での学校成績は多くても平均よりも下だった。15歳のほぼ4人に1人が小学校レベルでしか読んだり文章を理解できず、そして危ないグループを占めていた。機会均等ということにおいてドイツには6の成績だった。そして移民支援におけるマイナスも露骨に表れていた。
(4)
晩になっても、ドイツの学校を再び苦境の谷から導くべき16州の文化大臣達が「7つ宿題」の目録のために集まっていた。ラインラント・プファルツ州のドリス・アーネン(SPD)は当時、全日制学校が学校の悲惨さを改善するための方法として認められることを求めて戦っていたことは骨の折れることだったことに違いはなかった。
【メモ】
Pisa-Studieは日本語正称で「OECD生徒の学習到達度調査」と訳される。日本でもPISA調査と呼ばれている。
(1)
TheraphieやBehandlungなど治療を意味する単語が使われていて、ドイツのかつての調査結果がいかにショックなもので今もトラウマになって引きずっているかわかる。
(2)
zwar...aber~の構文が二つの文章に渡って使われていて、二つの文章を関係づけている。
Note 6(成績で6)とはドイツの学校では最低の成績のこと。日本と異なり、ドイツでは6から1に上がるにつれて高評価の扱いとなる。ドイツの大学などでは2.0などコンマ単位で成績が決まる。
Chancengleichheit(機会の均等)とは、ドイツの教育制度に対して批判があるため。2006年に国連人権委員会の委員が教育制度を変えるよう勧告し、それにたいして当時の連邦大臣が反論するという一幕があった。
(3)
“Handlungsfelder”を「宿題」と訳したが日本語の訳語がないための苦肉の策。Wikipediaだとこの概念を”Unter Handlungsfeldern versteht man in der Pädagogik zusammengehörige Aufgabenskomplexe mit beruflichen sowie lebens- und gesellschaftsbedeutenden Handlungssituation”(「Handlungsfelder」は教育学において、職業、生活および社会的に異義のある行動状況を伴う一体的な課題の複合体と理解される)と説明している。
ちなみに”unter ~ versteht man ...”で「〜は…ということ」という熟語。
ドイツ全国の教育問題について「16州の文化大臣達」と、連邦政府ではなく州の文化大臣が記事に出てくるのは、高等教育など教育についての権限はどちらかというと州にあるため。日本と違ってドイツの政治システムは結構面倒。
あたろうとは?
静岡生まれの静岡育ち。
温州みかんと一緒に育ちました。
大学ではドイツ語を専攻し、
四年生の時にドイツ語資格のDSHを取得しました。
現在は普通の会社のサラリーマンです。
※2012年4月1日でHNを「あたろう」に変更
シュヴァーベン地方の民謡を紹介したところで、「ein schönes Schäzelein mit zwei schwarzbraune Augelein(濃い茶色の瞳の美しい女性)」という言葉が出てきました。
女性ですが、中性名詞です。Mädchenのように「名詞 + -chen」で「(ちいさな、かわいらしい)〜」とか「〜ちゃん」というニュアンスを付けることができます。
というわけで、かわいらしい女性ということでein Mädchenとなるわけですが、ここで疑問が生じます。
Mädchenを人称代名詞で書き換える場合、das/esが正しいのか、それともdie/sieなのか、ということです。
ドイツ語の人称代名詞は、基本的に単語の性・数・格に支配されます。der Hund(犬)を人称代名詞で書く場合、同じ「男性名詞」の代名詞であるerを使います。ですから「彼」という意味で使っているわけでは無い、ここが英語のhe/she/itとの大きな違いです。(とはいえ、英語ももともと似たような使いかたをしていたので名残はありますが。例)船など)。
と、考えるとMädchenをしめしたい場合はesとなりそうな気がしてきましたが。そこは感覚的に中性名詞でも女性を示す場合はsieを使って受け止めます。そのため、esなどと書くと逆に「?」という反応か、「esって何よ!」という大変な(?)ことになるかもしれません。
文法的な性よりも実際のジェンダーが意味を変える身近な例でした。